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公正証書はどこで作るのか

公正証書は、公証役場において公証人が作成します。
公証役場は全国にあり、東京都には45ヶ所もあります。公正証書はどこの公証役場で作成してもその効力は変わりません。

公正証書の作成手数料は、例えば金銭消費貸借契約書の場合、資金の金額が100万円までであれば5000円で、公正証書の原本は原則として20年間公証役場で保管し、当事者には正本、謄本が交付されます。

金銭消費貸借契約において公正証書を作成する目的は、
①裁判手続きなしで強制執行できるようにしておく
②通常の借用書などの私文書と比較して証明力が強い
③公証人がチェックすることにより契約関係が明確になる
④確定日付としての効力を持ち、日付の優劣が問題となる場合に効果が高い
などが上げられます。

なお、公正証書を作成する場合は、当事者が公証役場に出頭することが原則とされていますが、遺言証書や死因贈与以外は代理人でも作成することが可能です。

代理人による場合には、本人の印鑑証明書と実印の押されている委任状が必要で、委任状には委任事項を記載しておく必要があり、通常は委任状に契約書のコピーを付けて割り印します。

代理人は弁護士ではなくてもなることが可能であり、金融業者が作成する公正証書は、ほとんどが金融業者の社員が借主の代理人となって作成しているのが実情です。

白紙委任状を取られたら

「貸金業者は、公正証書を作成するための委任状を取得する場合に白紙委任状を取ってはならない」と貸金業規制法20条で定められています。

これは公正証書は裁判手続きを経ずに直ちに強制執行ができるため濫用の危険性が大きいからです。

さらに金融庁事務ガイドラインでは、公正証書を作成するための白紙委任状全般について、その取得は貸金業規制法で禁止している不正・不当な手段に該当する恐れが大きいとしています。

このため法に準じて貸金業を営んでいる貸金業者であれば白紙委任状を取ることはありません。

もし契約の際に白紙委任状を取られたというのであれば、その貸金業者は違法な業者である可能性が大きいので警戒が必要です。

白紙委任状を使って公正証書を作成された場合、それは直ちに強制執行ができるという強い効力があるだけでなく、公証人によって作成された書面だけに信用性も高いとみなされます。

そのため、あとから委任は無効であるとして争うことは非常に難しいのが実情です。

そこで、まだ公正証書が作成されていないのであれば、「委任契約は原則として各当事者はいつでも解除できる」という点を利用して、委任を解除する旨の通知を内容証明郵便で出しておくべきです。

しかし、すでに公正証書を作成されている場合には、公正証書の無効を主張して請求異議の訴訟をするしかありませんが、これはかなり困難を伴うことを認識しておかなければなりません。