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家族の実印を無断で使って作られた借金はどうなる

実印というのは社会通念では非常に重要な物であると考えられており、契約書に実印を押して印鑑証明を添付していると、その責任を免れることは非常に難しくなります。

しかし、それはそれぞれが別々に生活している場合のことです。

夫婦のように一緒に生活している場合は、実印を持ち出すことも、印鑑証明を取ることも比較的容易にできるので、お金を貸す側が契約書に配偶者の実印が押してあるで配偶者が保証人になることを認めていると信じたとしても、それを安易に信じたお金を貸す側にも落ち度があると判断されます。

もちろん、夫婦であれば実印を勝手に使われても常に責任は生じないとはいえません。

夫がそれまでに何度か妻の実印を使用しており、夫が妻の実印を使うことを妻も認識していた場合には、たとえ問題となった契約について妻が承知していなかったとしても、表見代理が成立し、妻が責任を負う場合もあるでしょう。

また、夫婦ではなく、子が勝手に親の実印を持ち出して親を保証人とした場合などは、「子供が血縁の緊密さを悪用して、自己の利益を図る目的で親の実印を使用し、親の代理人として行動することはしばしば見られることであるから、貸す側は実印と印鑑証明書を差し入れたというだけで代理権があると信じたのは、貸す側の判断が軽率である」として親の保証責任を否定した判例もあります。

いずれにしろ、実印を押しているからといって常に責任を負うわけではありません。

このような問題が起きたときは、無料法律相談会などで弁護士に相談するとよいでしょう。

担保とは

担保には、「人的担保」と「物的担保」があります。

「人的担保」とは、保証人や連帯保証人の事を指し、債務者(お金を借りる人)がお金を返せなくなった際に、債権者(お金を貸した人)が債務者の代わってお金を返してくれる人をあらかじめ用意させ、返済の確実性を増すために設定するものです。

また、「物的担保」とは、債務者が不動産の所有権や株式など有価証券などを担保として提供することで、債務者がお金を返せなくなった際に債権者が担保を売却、あるいは担保とされた物の所有権を得ることで、債権者に返されるべきお金に充当するための物です。

白紙委任状を取られたら

「貸金業者は、公正証書を作成するための委任状を取得する場合に白紙委任状を取ってはならない」と貸金業規制法20条で定められています。

これは公正証書は裁判手続きを経ずに直ちに強制執行ができるため濫用の危険性が大きいからです。

さらに金融庁事務ガイドラインでは、公正証書を作成するための白紙委任状全般について、その取得は貸金業規制法で禁止している不正・不当な手段に該当する恐れが大きいとしています。

このため法に準じて貸金業を営んでいる貸金業者であれば白紙委任状を取ることはありません。

もし契約の際に白紙委任状を取られたというのであれば、その貸金業者は違法な業者である可能性が大きいので警戒が必要です。

白紙委任状を使って公正証書を作成された場合、それは直ちに強制執行ができるという強い効力があるだけでなく、公証人によって作成された書面だけに信用性も高いとみなされます。

そのため、あとから委任は無効であるとして争うことは非常に難しいのが実情です。

そこで、まだ公正証書が作成されていないのであれば、「委任契約は原則として各当事者はいつでも解除できる」という点を利用して、委任を解除する旨の通知を内容証明郵便で出しておくべきです。

しかし、すでに公正証書を作成されている場合には、公正証書の無効を主張して請求異議の訴訟をするしかありませんが、これはかなり困難を伴うことを認識しておかなければなりません。