「借金」カテゴリーアーカイブ

貸金業者に給料を差し押さえられたら

破産を申し立てると、破産者に一定の財産がある場合には破産管財人がついて破産手続きが始まり、債権者が個別に債務者の財産を差し押さえることは禁止されます。

このため、破産手続きが開始されて破産管財人が選任された時点で、給料の差押えはできなくなります。

これに対し、破産者に財産がないため破産手続きが開始されず、破産管財人がつかない場合、これまでは免責が確定するまで給料を差し押えることが可能で、破産を申し立てても一部の強硬な貸金業者は給料の差押えを行い、それが破産者の生活を再生させることの障害になっていました。

そこで新しい破産法では、破産の申し立てをすると同時に免責許可を申し立てたとみなすという規定が定められ、免責許可の申し立ての裁判が確定するまでの間の、強制執行・仮差押えなどが禁止され、すでに強制執行などがなされている場合には、それを中止するという規定が設けられました。

利息と遅延損害金の違い

利息とは、分かりやすくいえば、お金を借りた人は、そのお金を使って利益を得ているのですから、その対価を支払いなさいというわけです。

利息を決めずにお金を貸すことはでき、利息を取ることは定めても利率は定めないでお金を貸すこともできます。

このように利率を定めなかった場合は、個人間の契約での法定利率は年5%とされており、法人間の契約では法定利率は年6%と定められています。

これに対し遅延損害金は、金銭債権において債務不履行があった場合の損害賠償金ですので、「利息」とは性質が異なります。

「遅延損害金」は「遅延利息」という呼び方もありますが、「遅延利息」は「遅延損害金」と同じ意味です。 遅延損害金を契約で定めていれば、契約に従うこととなりますが、利率を定めていない場合は、個人間の取引で年5%、法人間の取引で年6%と定められていま す。

ただし、貸金業者がお金を貸す場合は、貸金業規制法及び出資法に準じることになるので、一定の要件を満たす場合に限り遅延損害金の上限率は29.2%まで認められています。

借用書は絶対に必要か

契約書のメリットは、契約の内容を明らかにしておくことができること。

借用書がなくても契約は有効であり、返済を求めることは可能です。

その理由は、民法では「お金を返すことを約束して、そのお金を受け取れば金銭消費貸借契約は成立する」としています。

したがって、契約書を作成せず口頭の約束だけでも契約の効力が生じることになります。

借金の時効

ひとくちに「時効」といって2つの時効があります。

その一つは、ある一定の期間事実状態が続くと権利が取得される取得時効です。

そしてもう一つは、ある一定の期間権利が行使されなかったことにより権利が消滅する消滅時効です。

取得時効と消滅時効の有効期間はそれぞれ法律で定められており、債権の消滅時効は10年とされています。

また、商行為によって生じた債権は5年間行使しなければ時効によって消滅すると規定されています。

このように一般の民事債権に比べて商事債権の消滅時効期間が短いのは、企業取引に関する法律関係は迅速性が要求されるので、早期に法律関係を安定させる必要があるためです。

貸金業者が法人の場合は、商行為によって生じた債権に該当するので、その債権の消滅時効は5年です。

しかし、中には個人の貸金業者もいるので、このような場合は商行為によって生じた債権には該当しないと判断され、消滅時効期間は10年になります。

離婚すれば夫の借金を負わなくて済むのか

夫の借金を契機に離婚するという場合、2つのケースがあり得るでしょう。

1.借金をした夫に愛想を尽かして離婚するケース
2.本当は離婚するつもりはなく、何とか夫を支えていきたいのだけど、債権者からの取り立てを避けるために形だけ離婚するケース

前者のケースに関しては、離婚の原因が夫の借金であることは多々あるので特に問題ありません。

しかし、後者のケースに関しては、法に基づいて貸金業を営んでいる貸金業者であれば、債務者でない妻に返済を求めることはありませんので、離婚する意味はないといえます。

妻に対して夫の借金の返済を求めるような貸金業者は、たとえ離婚しているといっても、同居している限り返済義務がない妻にも返済を強要することがあるので、このような場合は形式的な離婚しても期待したような効果はないかもしれません。

離婚理由が後者であり、もともと返済義務がない妻に返済を強要するような貸金業者との間でトラブルが生じた場合は、弁護士や司法書士に依頼してきちんと債務整理を行ったほうが確実でしょう。